素顔はやさしい英国紳士/怪奇名優ピーター・カッシング

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「スター・ウォーズのデス・スターの司令官」と聞くと、ピンとくる方も多いのでは。ピーター・カッシングは1977年の『スター・ウォーズ』で、冷酷なグランド・モフ・ターキンを演じた俳優です。ダース・ベイダーをアゴで使う悪役ですが、レイア姫役のキャリー・フィッシャーは、「彼はカメラの外ではとても礼儀正しくてチャーミングだったので、役で軽蔑してみせるのが難しかった」と回想しています。演じた多くの役とは正反対の温厚な職人俳優で、監督や共演者にも愛されました。

カッシングは1913年生まれ。『フランケンシュタインの逆襲』(1957)の狂気の科学者を皮切りに、『吸血鬼ドラキュラ』(1958)のヴァン・ヘルシングなど、ハマー・プロのホラーでブレイク。ノーブルで鋭い風貌から、知的な役・冷酷な役を多く演じました。1994年、81歳で亡くなり、出演映画は91本にのぼります。ドラキュラ伯爵を演じたクリストファー・リーとは名コンビで、『ミイラの幽霊』(1959)など22本で共演しました。(面白い偶然で、カッシングとリーは誕生日も5月26日、27日と一日違いです)

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昨年2013年は彼の生誕百周年で、故国イギリスでは回顧上映などが行われました。愛妻と暮らし生涯を閉じた海辺の保養地、ウィスタブルでも記念行事があり、町の博物館の記念展示の中には、『スター・ウォーズ』で履いた「スリッパ」も出品されました。用意されたブーツがきつすぎて、代わりに履いたというものです。(つまり、足元の映っていないターキンはスリッパを履いているわけですね)自伝には、ジョージ・ルーカス監督に言った言葉がユーモラスに記されています。
「ねえ君、クローズアップをせがむわけじゃないけど、これ以降はウエストから上で撮っていただけないかな?」

ホラーやSFで知られるカッシングですが、本人はこのジャンルに詳しくなく、スター・ウォーズの「専門用語」も理解できなかったといいます。盟友クリストファー・リーは、「グランド・モフってなんだ?と聞いたら、さっぱりわからんと言っていた」と笑い、「僕はただ、知的に聞こえるように台詞を言ってるだけ」という名言も残っています。

そんなカッシングが人気を博した時代のホラーは、特殊効果に頼らないものでした。今見るとむしろ新鮮で、新しいファンも増え続けています。温厚な怪奇スター、ピーター・カッシングの名前も、決して忘れられることはないでしょう。

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