『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』マルコ・ベロッキオ

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20世紀初頭のミラノを捉えた『STRAMILANO』の映像と、カルロ・クリヴェッリによるオーケストラ、そこにまもなく「VINCERE」(この作品の原題)が飛び込んできます。目と耳に飛び込んだものは、まるで握りこぶしを突き上げ「VINCERE!」(勝利を!)、あるいは「GUERRA!」(戦争だ!)と声高に叫び散らしているかのようで、ファシズムへと突き進むイタリアとムッソリーニの物語であるばかりでなく、冒頭から作品そのものが持つ強さを前にした誰もが、そこにみなぎる画面の強度に圧倒されるはずです。

Vincere

しかし画面の強度は、そうしたフォルムや物語の問題だけではありません。タイトルにもあるように、ムッソリーニの愛人・イーダ(ジョヴァンナ・メッツォジョルノ)の存在こそが、この作品を支える強度でもあるのです。前作『夜よ、こんにちは』(2003)では、どこか遠くを見つめるキアラ(マヤ・サンサ)の柔らかいまなざしに心を奪われた人もいるでしょう。しかしこの作品では、イーダの鋭い眼光と張り裂けそうな声の度量に恐れおののかされます。それは言い換えると、それぞれの女性が生み出す強度を私たちに提示し、それらを彼女たちへ託すことのできるマルコ・ベロッキオの強さでもあるのです。これほどまで画面に映る女性に睨まれ、叫ばれるような映画は存在したでしょうか。しかしそんなイーダの存在に、一度威嚇されてみることも悪くはないでしょう。

予告編:

映画の英語名:Vincere
出演者:Giovanna Mezzogiorno, Filippo Timi, Fausto Russo
監督:Marco Bellocchio

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